メディアウィキでの引用方法
引用方法に関しては、5年前に「XHTMLでの引用方法」を書きましたが、すっかり内容が古くなってしまってしまいました。XHTML2.0は失敗に終わり、今後は、HTML5が主流になりそうです。私としても、メディアウィキで新たにサイトを作り直すにあたって、引用方法を考え直したいと思います。
1. 下準備
メディアウィキで編集作業をするためのブラウザとしては、アドオンが豊富で、URLの日本語へのエンコードができる Firefox がお勧めです。Firefox を使う場合、MakeLink と AffiliateFox のアドオンを準備しましょう。
AffiliateFox は、世界各国のアマゾンのサイトで、アソシエイトID 付きの短いURLをロケーションバーに表示してくれます。これを使うと、本からの引用も、ウェブからの引用のように簡単にできます。MakeLink は、QuoteURLText などの類似アドオンとは異なって、複数のリンク形式が登録できるというメリットがある反面、日付を入れることができないというデメリットがあります。そこで、MakeLink をアドオンした後、引用した日付を自動的に付け加えることができるように、改造する必要があります。
まず“makelink.jar”が格納されている以下のフォルダを開き、解凍します。
C:\Documents and Settings\Administrator\Application Data\Mozilla\Firefox\Profiles\[現在使っているプロファイル]\extensions\{0B6B0D55-DFAC-4006-AEE6-25667F55A2A8}\chrome
ここで、現在使っているプロファイルを選びます。そして、
makelink\content\makelink\link_maker.js
を開き、“// move up the DOM tree to a link or block level element:”を検索し、その上に以下のコードを挿入します。
var now = new Date();
var local_year = now.getYear();
var local_month = now.getMonth() + 1;
var local_day = now.getDate();
var local_hour = now.getHours();
var local_min = now.getMinutes();
var local_sec = now.getSeconds();if(local_year < 2000) { local_year += 1900; }
// 0-padding
if(local_month < 10) { local_month = "0" + local_month; }
if(local_day < 10) { local_day = "0" + local_day; }
if(local_hour < 10) { local_hour = "0" + local_hour; }
if(local_min < 10) { local_min = "0" + local_min; }
if(local_sec < 10) { local_sec = "0" + local_sec; }info['utc_time'] = now.toUTCString();
//info['local_time'] = now.toLocaleString();
info['local_time'] = local_year + "/" + local_month + "/" + local_day + " " + local_hour + ":" + local_min + ":" + local_sec;
次に“// default (not actually a make link variable) means inVar”を検索し、その上に以下のコードを挿入します。
case "utc_time":
copyText += info['utc_time'];
inVar = false;
break;
case "local_time":
copyText += info['local_time'];
inVar = false;
break;
この後、“content”と“locale”の二つのフォルダをzip形式で圧縮して“makelink.jar”に名前と属性を変更します。以上で、日本向けの“%local_time%”と世界向けの“%utc_time%”という二つの時間表記形式の変数が使用可能となります。
MakeLink で、様々なリンク形式を登録するには、
Firefox > ツールバー > アドオン > MakeLink > 設定
と選択して、「新規」または「変更」のボタンを押して、新しいリンク形式を設定します。リンク形式の提案に関しては、本稿の第二節以降を参照してください。
メディアウィキを使う場合、これ以外にも、参照文献や注釈を脚注形式で文末に表示する拡張機能、“Cite”をインストールしておきましょう。これは、ウィキペディアでも使われているおなじみの拡張機能で、本文の流れを中断せずに、出所を末尾で表示することができます。インストール方法に関しては、「メディアウィキの拡張機能」をご覧ください。
2. 長文の引用
長文を引用する時には、“blockquote”要素を使います。ウェブから引用する時には、同じURLでも、内容が改変される可能性があるので、引用した日時を記録しておく必要があります(特に学術論文などでは、アクセス日時の記載が必須と見なされています)。リンク形式としては、例えば、次のようにするとよいでしょう。
<blockquote><p></p><p>%text_n%<ref><cite>[%url% %title%]</cite>, accessed %utc_time%</ref></p></blockquote>
これで、例えば、以下のようなコードを作成します。
<blockquote><p></p><p>2001年5月31日に、W3C が XHTML1.1 の仕様を発表したものの、圧倒的なシェアを誇る Microsoft Internet Explorer がアップグレードを怠ってきたおかげで、ウェブマスターは、W3C の勧告を無視することができました。しかし、ここにきて、Mozilla Firefox がシェアを伸ばすなど、再びブラウザ戦争が起きそうな気配で、ウェブマスターたちも、新時代のマークアップ言語に無関心ではいられなくなりました。このコラムでは、現在のブラウザに対しても有効で、かつ、XHTML時代になっても時代遅れにならない引用のコードを手間をかけずに作成する方法を提案します。<ref><cite>[http://www.systemicsarchive.com/ja/c/
quotation.html XHTMLでの引用方法]</cite>, accessed Mon, 22 Nov 2010 05:51:22 GMT</ref></p></blockquote>
被引用文が一行なら、</p><p>は削除します。二行以上にまたがる時は、</p><p>を切り取り、行間にペイストして、改行します。“%text_n%”は、“%text”とは異なり、選択したテキスト中にある改行を反映しますが、ウィキテキストでは、<blockquote>~</blockquote>内の改行は無視されるので、<p>タグでくくる必要があります。
<ref>~</ref>は、脚注に示される出所情報で、これは、引用される情報ではなくて、引用に関する情報なので、本来は、<blockquote>~</blockquote>の外部に置かれるべきなのですが、メディアウィキでは、レイアウト的に無理なので、内部に入れておきます。
出所のURLは、本来、blockquote 要素内にある cite 属性で示すべきなのですが、ほとんどのブラウザは、これを明示することができないので、無意味です。 title 属性の方は、ツールチップという形で明示されるので、活用しましょう。
本から引用する時には、アマゾンサイトへのアクセス日時は重要ではないので、本からブロック引用する時のリンク形式としては、
<blockquote><p></p><p><ref>%title%, <cite>[%url% %text%]</cite>, p.</ref></p></blockquote>
とすれば、よいでしょう。後は、アマゾンの検索ページに行って、引用する本を検索し、書名の文字列を選んで、右クリックし、該当リンク形式を選んで、ペイストすれば、
<blockquote><p></p><p><ref>Amazon.co.jp: 縦横無尽の知的冒険: 永井 俊哉: 本, <cite>[http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/
4921132860/n08-22/ 縦横無尽の知的冒険]</cite>, p.</ref></p></blockquote>
というような、コードを生成してくれます。この後、“Amazon.co.jp: 縦横無尽の知的冒険: 永井 俊哉: 本”のうち、著者名の部分以外は削除します。
ウェブ上にあるPDFファイルから引用する時には、別のリンク形式が必要です。PDFファイルで右クリックしても、コンテキストメニューが出てこないので、PDFファイルのタイトルにアンカーされたリンク上で右クリックして、コードを作ることができるようにしなければなりません。
<blockquote><p></p><p>%input%<ref><cite>[%url% %text%]</cite>, accessed %utc_time%</ref></p></blockquote>
引用したいところを予めコピーし、リンク形式選択後に現われるボックス内にペイストすれば、“%input%”のところに書き込むことができます。
3. 短文の引用
短文を行中に引用する時には、“q”要素を使うというのが、W3Cの方針です。私は、これまで、圧倒的シェアを持つ Internet Explorer が“q”要素を実装していないことを理由に、この要素を使っていませんでしたが、Internet Explorer 8 以降では、このブラウザも“q”要素の前後を引用符で囲むようになりました[HTML Enhancements in Internet Explorer 8]。この要素は、HTML5 でも継承される見込みなので、今後は、使っていきたいと思います。
ウェブからインライン引用する時のリンク形式:引用する文字列を選択
<q>%text%<ref><cite>[%url% %title%]</cite>, accessed %utc_time%</ref></q>
本からインライン引用する時のリンク形式:引用する書名の文字列を選択
<q><ref>%title%, <cite>[%url% %text%]</cite>, p.</ref></q>
PDFからインライン引用する時のリンク形式:リンクの上で右クリック
<q>%input%<ref><cite>[%url% %text%]</cite>, accessed %utc_time%</ref></q>
これで、ブロック引用の時と同じ要領で、
<q>アナログの世界では、短文の引用範囲は「」で区切り、長文の引用範囲はインデントで区切るのが普通で、ネットでもその慣例が踏襲されています<ref><cite>[http://www.systemicsarchive.com/ja/c/quotation.html XHTMLでの引用方法]</cite>, accessed Mon, 22 Nov 2010 05:54:59 GMT</ref></q>
<q><ref>Amazon.co.jp: 縦横無尽の知的冒険: 永井 俊哉: 本, <cite>
[http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4921132860/n08-22/ 縦横無尽の知的冒険]</cite>, p.</ref></q>
<q>政務三役と官僚は、それぞれの役割分担と責任を明確にし、相互に緊密な情報共有、意思疎 通を図り、政府全体が一体となって、真の政治主導による本格的な政策運営に取り組む<ref><cite>[http://www.kantei.
go.jp/jp/kakugikettei/2010/0917kihonhousin.pdf 基本方針[PDF]]</cite>, accessed Mon, 22 Nov 2010 05:58:28 GMT</ref></q>
というようなコードを作ることができます。次に“q”要素のスタイルを日本語向けにするために、CSSに、以下のように書き込みます(この例にあるように、HTMLエンティティを使用した方が確実です)。
q {
quotes: "\300C" "\300D" "\300E" "\300F";
}
q:before {
content: open-quote;
}
q:after {
content: close-quote;
}
こうしておくと、<q>~<q>~</q>~</q> というように入れ子式に引用タグを配置すると、内側の被引用文は『』で、外側の被引用文は「」で区切られます。英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、日本語、中国語(簡体字)など、言語別に引用符を変えたいときには、最初の三行を以下のようにします。
q:lang(en) {
quotes: "\201C" "\201D" "\2018" "\2019";
}
q:lang(es) {
quotes: "\00AB" "\00BB" "\0022" "\0022";
}
q:lang(fr) {
quotes: "\00AB\00A0" "\00A0\00BB" "\2039\00A0" "\00A0\203A";
}
q:lang(de) {
quotes: "\201E" "\201C" "\201A" "\2018";
}
q:lang(ja) {
quotes: "\300C" "\300D" "\300E" "\300F";
}
q:lang(zh-cn) {
quotes: "\201C" "\201D" "\2018" "\2019";
}
4. 要約引用
要約引用は、著作権法が禁止する翻案権侵害にあたらなければ、合法です。この場合も、どこからどこまでの記述が参照文献に基づく記述かを明示したほうが読者にとってわかりやすいので、以下のようなリンク形式を作る問いでしょう。
ウェブから要約引用する時のリンク形式:要約する文字列を選択
<span class="source">%text%<ref><cite>[%url% %title%]</cite>, accessed %utc_time%</ref></span>
本から要約引用する時のリンク形式:引用する書名の文字列を選択
<span class="source"><ref>%title%, <cite>[%url% %text%]</cite>, p.</ref></span>
PDFから要約引用する時のリンク形式:要約する箇所をコピーして、リンクの上で右クリック
<span class="source">%input%<ref><cite>[%url% %text%]</cite>, accessed %utc_time%</ref></span>
CSS で“source”に適当なスタイルを指定すれば、その箇所が明示されます。
5. 画像の引用
他人の著作物である画像を引用する時も、本来は、以下のように、ブロック引用を使って、引用の範囲と出所を明示するべきです。
<blockquote cite="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/492113 2860/n08-22/" title="永井俊哉『縦横無尽の知的冒険』123頁">
<img src="nagaitoshiya.png" alt="『縦横無尽の知的冒険』から引用した画像" /></blockquote>
しかしながら、cite 要素、title 要素による出所表示は、対人的には不十分であるという既に述べた理由より、出所は、画像のキャプションで示すことにします。リンク形式は、例えば、以下のようにするとよいでしょう。いずれも先に、画像ファイル名をコピーしておくものとします。
ウェブから画像引用する時のリンク形式:キャプション候補の文字列を選択
[[Image:%input%|frame|center|%text% Source: <cite>[%url% %title%]</cite>, accessed %utc_time%]]
本から画像引用する時のリンク形式:引用する書名の文字列を選択
[[Image:%input%|frame|center|Source: %title%, <cite>[%url% %text%]</cite>, p.]]
PDFから画像引用する時のリンク形式:リンク上で右クリック
[[Image:%input%|frame|center|Source: <cite>[%url% %text%]</cite>, accessed %utc_time%]]
これは、次のようなコードを生成します(以下、ウェブの場合のみを例示)。
[[Image:nagaitoshiya.png|frame|center|永井俊哉(ながいとしや):インターネットを主な舞台に、新たな知の統合を目指す在野の研究者。 Source: <cite>[http://www.nagaitosiya.com/d/profile.html このサイトの管理人]</cite>, accessed Mon, 22 Nov 2010 06:22:29 GMT]]
ウェブから画像を引用する時、%imgurl% を使うと、直リンクできるのですが、直リンクは、相手のサーバーに負担をかけるので、やめた方がよいと思います。また、メディアウィキでは、画像は、独立のページで表示できて、かつ、引用したページからそのページへと自動的にリンクされます。独立表示は、引用の範囲を超えており、日本の著作権法では問題になるかもしれません。それが心配な場合は、以下のようにリンク形式を設定すればよいでしょう。
<div class="object"><img src="%input%" alt="%text%" /><div class="caption">%text% Source: <cite>[%url% %title%]</cite>, accessed %utc_time%</div></div>
class="object" のところは、右寄せ、左寄せ、中央ぞろえの三種類を作っておけば、よいでしょう。
MakeLink の作者、Rory Parle さん(グーグルのソフトウェアエンジニア)にメールで、日時変数の追加を要望しておきました。次回のアップデートの際、そういう機能が追加されるかもしれません。
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